時間軸を変えることの罪

長くトレードを続けてきた方なら記憶に残るトレードはいくつかあると思います。

 

僕もいくつか記憶に残っている取引はあります。

その中でも、強く印象に残っているのは「ゆうちょ銀行」の取引でした。

 

僕のターニングポイントにもなった取引です。

今回はその時の話をしたいと思います。

ゆうちょ銀行のIPO

ゆうちょ銀行は当時、かんぽ生命保険と日本郵政と合わせて大型IPOとしてかなり世間の注目を得ていました。

ゆうちょ銀行の上場日は2015年11月4日。

 

僕も当然注目しており、上場直後から年内は監視銘柄に入れていました。

板の厚さにもかかわらず新興市場並みに動き、とても取引しやすかった気がします。

特に負けの取引が続いていることもなく、安定して利益は出していました。

2015年12月29日

そして忘れもしない2015年12月29日がやってきました。

その日のチャートがこれ。

 

 

寄り付きギャップダウンをして下落の流れ。

僕は10:30頃から取引に参加をしました。

 

正直、この頃は精神的にも余裕があり長らく大負けを経験しておらず、スイングでも利益を出せていたので強気でした。

年末ということもあり、取引は適当になっていましたが不安視できていませんでした。

 

前場が終わり、後場が始まりました。

この時点でポジションは3000株程度。

本来であれば、13:00から13:30の下落でポジションの解消もしくは枚数を減らしているはずです。

でも、ポジションは閉じませんでした。

 

上がると思ったからです。

そして、実際に上がってきました。

チャートの14:00~の部分です。

売り指値を当日の最高値付近において、引っ掛かるのを待っていました。

 

しかし、指値にかからず株価は下落を始めました。

このとき確実に指値で売りたい衝動にかられたと同時に指値で売る自信がありました。

なので、デイトレでポジションを組んだのにスイングの時間軸に変更しようと思いました。

スイングであれば利益に出来ると思いました。

万が一、利益にできなかったとしても損失にはしない自信がありました。

 

その後、大引けにかけて株価は下落。

持ち越しを予定していましたが、大引け1分前に目が覚めて全カットです。

 

自分がギャンブルをしていることに気が付いたからです。

 

その後のゆうちょ銀行

 

 

上は日足のチャートです。

見てもらうとわかるように、2度と僕の指値がかかることはありませんでした。

2度と株価は戻ってきていないのです。

 

あの時は、翌日株価が戻ってこなかったら塩漬けすることも考えていました。

もし塩漬けしていれば損失だけが増えていた結果になります。

同時に、忘れてはいけないことも忘れてしまっていたでしょう。

 

それは、時間軸を変えてはいけないということです。

時間軸を変えることの罪

時間軸を変えることは間違いなく罪です。

 

正確に言うと、時間軸を変えれば助かると思う思考が罪です。

これは本来のトレードを放棄して希望にかける行為であり、ただのギャンブルです。

 

そもそも、トレードというのは何分後に取引を終えるといった時間との勝負ではありません。

時間が取引の内容に大きく含まれることは当然ありますが、時間を変えることによって取引の結果を望むことは間違っています。

 

ただし、時間軸が変わる場合は多く存在します。

問題なのは意識的に時間軸を変えることであって、時間軸が変わること自体は問題ではありません。

良い例と悪い例をあげてみましょう。

時間軸が変わった例(良い例)

ある株をスイングで持ち越す予定で寄り付きで買ったとします。

多少の上げ下げは考慮しないことにしますが、ある程度のエグジットは決めておきます。

 

そして、買った当日に株価が大幅に下落したとしましょう。

エグジットのラインにも株価は達しています。

この場合に、持ち越しの予定だとしてもエグジットを行います。

 

この取引は、時間軸が変わった良い例です。

決して時間軸を変えたわけではありません。

 

この取引では当初、スイング(時間軸)とエグジット(価格軸)の二つの軸をベースとしてエントリーをしました。

そして、エグジット(価格軸)が崩れました。

つまり、この取引ではベースが崩れているのです。

 

そうなると取引は終わらせるしかなく、ここで時間軸を優先させるわけにはいかないのです。

時間軸を変えた例(悪い例)

15分程度の時間を基準としてデイトレードをしたとします。

損切りのラインは決めておきましたが、株価が大幅に下落して損切のラインを大きく超えてしまいました。

このままでは大損です。

 

この場合は本来ならば、大損を覚悟してでも損切りしなければいけません。

しかし、日足や週足を見るとどうやら上昇トレンドにあることを確認しました。

そして、このポジションをスイングのポジションへ変更しました。

 

これは、時間軸を変えた悪い例です。

決して時間軸が変わったわけではありません。

 

この取引では当初の損切ラインが存在しています。

そのラインを、大幅だろうが割った時点で取引はすでに終わっているのです。

これ以上ポジションを持つ理由は存在していません。

 

そこに時間軸を登場させました。

すでに終わった取引に希望を持ってしまったわけです。

 

こうなるとこの取引はただのギャンブルへと変わってしまいます。

まとめ

時間軸が変わることは良いが、時間軸を変えてはいけない。

 

変えた瞬間にトレーダーからギャンブラーへと変更することを覚悟する。