今回から「初心者編」「中級者編」「上級者編」の全3回に分けてプロのトレーダーになるためのステップを紹介したいと思います。
実際に僕が利益を上げることが出来るようになった過程なので、余程ルールを無視しない限りは誰でもプロになれると思います。
- 「初心者編」は「マーケットを知ること」(重要度:高)
- 「中級者編」は「マーケットで生き残ること」(重要度:中)
- 「上級者編」は「マーケットで稼ぐこと」(重要度:低)
という目標で進めたいと思いますが、間違っても初心者編と中級者篇をすっ飛ばして上級者編を見ないようにしてくださいね。
重要度で言ったら間違いなく「上級者編<中級者編<<<初心者編」となります。
ちなみに僕が思うマーケットのプロの定義は「勝ち続けることが出来る人」です。
結局のところ、マーケットでは一日で全財産を失うこともありますので、勝ち続けるという定義を厳格にすると死ぬまで勝ち続けていないといけないわけです。
これはあまり現実的でないので少し考えたんですが、デイトレーダーであれば毎日フルタイムでデイトレードをするとして約半年間を勝ち続けることが出来ればプロになるのではないでしょうか。
スイングなら約一年程度ですかね。
今回は初心者編という事で、トレードってなに?というレベルの人でも分かるように書いていきたいと思います。
もちろん、すでにマーケットに参加している人、マーケットで負けている人も参考になると思いますので是非ご覧になってみてください。
目次
STEP.0 ルールを決める。それを守る。
おそらく「初心者編」「中級者編」「上級者編」の全ての中で、最も重要な項目がこの「STEP.0 ルールを決める。それを守る」となるでしょう。
先に断言しておきますが、ルールを破った場合に待っているのは「資金の減少」だけであり、これは「退場」を意味します。
1か月後か1年後か10年後かは分かりませんし、損失の額が10万円か100万円か1000万円かもわかりませんが、トレーダーとしてルールを守れないことは将来確実に退場することになります。
トレーダーを成功に導く唯一の術は「規律(ルール)」であり、それを手に入れることが出来なければプロのトレーダーにはなれません。
逆に言えば、一番最初にこの「規律(ルール)」を手に入れることが出来れば、遅かれ早かれプロのトレーダーになれるという事です。
ポイント
この項目には、投資の軸となる最も大切なことをなるべくシンプルに全てまとめました。一度読んで理解が出来なければ、何度も何度も読み返してみてください。
それでも理解が出来なければ、自分の人生と当てはめてみて何か同じ経験がないか考えてみてください。
きっと「あっ、あのことか!」と分かる経験が誰でも1つや2つはあるはずです。
ルールとは
僕が課すルールはたった2つです。
- ルール1 決して損をしないこと
- ルール2 決してルール1を破らないこと
これはウォーレン・バフェットの言葉であり、ウォーレン・バフェット自身のルールでもあります。
投資をすればするほど如何にこのルールを守ることが難しいかわかるわけですが、投資を始めたときからこのルールを徹底すれば短期間でプロのトレーダーとなれるでしょう。
ルール1 決して損をしないこと
このルール1の「決して損をしないこと」について、少し詳しく解説をしておきます。
決して損をしないことと言われてもよくわからない方も多いと思います。
この言葉にはたくさんの意味が含まれていますので経験を重ねるごとに理解を深めていっていただければよいのですが、最初の段階でいくつか理解しやすい言葉に変えておきます。
- ギャンブルはしないこと
- 自分は出来ると根拠なく過信しないこと
- 分かった気にならないこと
- 理解しないで行動に移さないこと
これらは、いずれも結果的に損をする行動の代表的なパターンです。
初心者のトレーダーは、勉強段階にも関わらず「分かった気になってトレードを始めてしまうケース」が非常に多いです。
その結果どうなるかというと、2度と勉強の段階へ戻ってくることはなく、ただのギャンブラーへと変化してしまいます。
おそらくマーケットに参加している8~9割の人がこのケースに該当していると思います。
トレードを勉強していると早く実際にトレードを行いたい気持ちになるのですが、その欲求に負けるくらいではプロのトレーダーになれるわけがありません。
プロのトレーダーとなるためには、8~9割の敗者が辿る道を決して辿ってはいけません。
ここまでの内容は何回も読み直して、完全に理解が出来てから次へと進んでくださいね。
ルール2 決してルール1を破らないこと
実際のところ、ルールを決めることは簡単です。
どんな難しいルールであっても決めることは容易にできます。
ただし、そのルールを守れるかどうかが一番の問題です。
ルールは守れて初めてルールとして機能するのであり、守れないルールなどルールではありません。
先ほど書いたルールの意味が理解できたならば、そのルールを何としても死守することが重要です。
投資の世界にいると、様々な形でルールを破りたくなる機会に遭遇します。
「甘い言葉」や「一見すると儲けさせてくれそうな広告」、「今なら大丈夫という自信」、これらは全てあなたから利益を取ろうとしている以外の何物でもなりません。
こうした誘惑に負けず、ただひたすら自分のルールに従うことで敗者にならず勝者へとなることが出来ます。
勝者は初めから勝者
最後にひとつ。
多くの方が勘違いをしていますが、マーケットでは一度敗者になるとその後に勝者になることは容易ではありません。
敗者には敗者になる理由が存在します。
そして、それは体に沁み付いており綺麗に洗い落とすのは困難です。
人間の性格を180度変えることが難しいように、敗者から勝者へとなることは非常に難しいのです。
極まれに敗者から勝者へとなるトレーダーもいますが、これは「変人」か「元々勝者の素質があった」かのいずれかです。
通常の人であればこうはなりません。
通常の人が勝者へとなるためには、マーケットに参加をした時点ですでに勝者としての態度をとらなければなりません。
これはいきなり稼げるかどうかという話ではなく、はじめから勝者としての行動を取るという事です。
初めから勝者としての行動を取るという事は、つまりルールを守れるという事で、これは実際に利益を上げ続けるプロとなっても変わらないことになります。
マーケットに参加をするならば、自分は勝者でありいずれプロになるという自覚をもって挑んでください。
そして、実際に勝者の行動を取ってください。
勝者の行動すらとれないようでは、利益を上げることはおろか損失を抑えることも出来ず、待っていることはただ敗者へとなることです。
STEP.1 証券口座を開く
まずは証券会社で証券口座を開きましょう。
今後必ずいくつか証券口座を開くことになると思いますので、この段階で3~4程度の口座をまとめて開いておくと後々楽だと思います。
証券会社で口座を開くと各社の取引ツールを使えることになります。
取引ツールは好き嫌いが分かれると思いますので、手あたり次第確認してみると良いと思います。
参考までに僕が使っている証券会社は、
- 松井証券
- トレードステーション
となります。
目標スキル
- 証券会社の取引ツールをパソコンで見ることが出来る
期間
- 1~2週間程度
注意事項
この段階では、証券会社の取引ツールを使うことが目的です。
間違っても口座に入金はしないようにしてください。
入金をするという事は、トレードをしたくなる欲求を自らあげているようなもので何の得にもなりません。
自分の首を絞めていることと何ら変わりませんので絶対に入金はやめましょう。
STEP.2 マーケットを知る
取引ツールが使えるようになったらマーケットを知りましょう。
「東証一部」「東証マザーズ」「日経平均」「終値」「チャート」など、マーケットの基本となる言葉を理解しなければなりません。
本を買って勉強をするのも手ですが、今は証券会社のホームページを見ることで基本的な言葉の意味は全て学ぶことが出来ます。
この段階でも「損をしないこと」のルールを大切にして、効率的に知識を吸収していきましょう。
目標スキル
- マーケット関連のニュースを見て内容が分かる
- 現時点の代表的な大型株、中型株、小型株の銘柄が言える
- 現時点のマーケットで最も商い(出来高、取引額)が多い銘柄を言える
- チャートの見方を理解する
期間
- 1~2ヶ月程度
注意事項
この段階でも、取引をすることはもちろんのこと入金することも厳禁です。
英語で例えると、いわば英単語を覚えている状態です。
そんな状態で英語を話そうとしても話せることはありません。
STEP.3 基本的なテクニカル分析を知る
マーケットに関する基礎的な知識を手に入れたら、次は基本的なテクニカル分析を知りましょう。
覚えなければいけないテクニカル分析は2つです。
- 単純移動平均線(5日.25日)
- 出来高
また、ここでは実際にチャートとテクニカル分析を見ることで、値動きとテクニカル分析の関係性も確認してください。
代表的なパターンがいくつかありますので、徹底的に理解をしていきます。
目標スキル
- 単純移動平均線が何か説明できる
- 5日線と25日線の違いを説明できる
- 出来高が何か説明できる
- 値動きとテクニカル分析の関係性を説明できる
期間
- 1~2ヶ月程度
注意事項
その1
この段階でも、取引をすることはもちろんのこと入金することも厳禁です。
マーケットを知ってから一番取引がしたい誘惑にかられる時期です。
ここをぐっと堪えなければ敗者となります。
英語で例えると、いわば文法を覚えている状態です。
覚えた単語を使ってどのように組み合わせると「文章」として成立するのかを身に沁みさせます。
その2
この段階ではもう一つの誘惑が襲います。
それが「より多くのテクニカル分析を知りたい」というもの。
結論から言ってしまうと、テクニカル分析をどれだけ知ったところで利益を上げることが出来るわけではありませんし、プロにも近づきません。
むしろテクニカル分析を知ること=プロに近づくと勘違いをして、テクニカル分析マスターへの道へと走ってしまうことになります。
ここにハマってしまうと抜け出すまで長い時間がかかるうえに、最悪抜け出せなくなる場合もありますので注意してください。
断言しておきます。
必要なテクニカル分析は「単純移動平均線」と「出来高」だけです。
それ以外は無視してください。
どうしても他のテクニカル分析を知りたければ、プロとなり利益を上げることが出来てからにしましょう。
それでも遅くはありません。
STEP.5 とにかくマーケットを観察する
マーケットを知り、テクニカル分析まで理解できたという事は、知識においてはプロのトレーダーと大差ないことになります。
無論、マーケットでプロになるためのバランスは知識1割:経験9割くらい(もしかすると知識0.5割:経験9.5割かも)なので、ここまで来てやっとスタートラインから一歩を踏み出せたという状態です。
今後はいかに多くの経験を積んでいくかという事になりますが、最初に経験しなければいけないことは「マーケットの観察」です。
残念なことに知識をつけた後に、この過程を飛ばして実戦に入る初心者はとても多いです。
これは間違いなく負けますし、資産が減ります。
スポーツで例えると分かりやすいですが、本を買って道具を揃えたからといっていきなり試合で勝てるわけではありません。
とにかく練習をしないと上達はしませんし、試合で勝てるわけもないのです。
マーケットでは試合が実際の取引にあたりますので、まずは練習であるマーケットの観察が必要です。
とにかくマーケットを見て「値動き」を肌で感じてください。
もちろんただ見るのではなく「なぜそのように動いているのか」「銘柄による値動きのくせ」「市場による値動きの違い」など、そこにあるものすべてを観察します。
必須事項
この過程では、必ず日誌を付けてください。
項目は以下です。
- 日付
- 日経平均の初値
- 日経平均の終値
- 1日の売買代金
- その日一番の取引額の銘柄名
- その日一番の出来高の銘柄名
- その日のマーケットに関する考察(簡単なもので可)
この中でより大切な項目は「その日のマーケットに関する考察」です。
念入りに書く必要はありませんが、その日の出来事から考察をまとめます。
「有名トレーダーの〇〇の発言によって〇〇という銘柄が暴落した。その後価格は戻ってこなかったので、あの発言が暴落の引き金か?」程度のもので構いません。
日経平均や売買代金に関してはJPXのサイトで確認することが出来ますので、毎日チェックするようにしましょう。
【日本取引所グループ】
【株式・債券市況|日本取引所グループ】
http://www.jpx.co.jp/markets/equities/summary/index.html
目標スキル
- 大型株、中型株、小型株のそれぞれの値動きを言葉で言える
- テーマ株の値動き言葉を言える
- 指数と個別銘柄の連動性を言葉で言える
- マーケットのどこに資金が集中しているのか理由と共に言える
- 誰が何を売買しているか言葉で言える
- 利益を上げているのが誰で、損失を出しているのは誰か言える
期間
- 6ヶ月~1年程度
注意事項
その1
この段階でも、取引をすることはもちろんのこと入金することも厳禁です。
英語で例えると、英会話レッスンをしている状態です。
この状態で海外に行ったとしてもいきなりネイティブの外国人と話せることはありません。
国内で念入りにレッスンを繰り返して、自信と経験を身に着けていきます。
海外に行って行き当たりばったりで話せるようになる!という案も確かにありますが、それをマーケットで行うと資産が減ります。
マーケットでは損をしないことが一番なので、下準備をどれだけ密にしてもやりすぎたということはあり得ません。
その2
僕はこのステップの期間に関しては、出来れば1年で最短でも6ヶ月をかけることをおススメします。
マーケットというのは、その時の経済状況や世界情勢によって姿かたちが変化します。
1ヶ月程度観察したところで、何もわかることはありません。
約1年程度観察をすることで、異なる様々な事象がマーケットとどのように関係し、そこからどのようにすれば利益を上げることが出来るのかを多少なりとも理解することが出来ます。
これはたとえデイトレードをメインにする予定の人であっても見当違いなことではありません。
木を見て森を見ずというように、小さな流れを見るためには先に大きな流れを見なければならないということです。
ここのステップにどれだけ時間と熱量をかけたかによって、今後のプロとなるまでのスピードに大きく影響を及ぼします。
期間を定め、しっかりとマーケットを観察しましょう。
初心者編のまとめ
初心者編で大事なことは「勝者の行動を身に着ける」ことです。
ここにあげている各ステップは、順番はどうであれ全てのプロトレーダーが経験していることです。
日誌やマーケットの観察に関しては、プロトレーダーでも日課にしていることになります。
このようなプロのトレーダーが経験していることを経験せず、プロになることは出来ません。
まずは多くの誘惑に打ち勝ち、勝者としての自信と自覚を身に着けていきましょう。
あすぱら