
今回は、プロトレーダーになるためのステップ「中級者編」です。
初めての方は、プロへのステップ(初心者編)から読み進めてください。
中級者編の目標は「マーケットで生き残る」こと。
勘違いをしてはいけませんが、ここでの目標は「マーケットで生き残ること」であって「マーケットで稼ぐこと」ではありません。
マーケットで稼ぐためには、まずは生き残らなければならず、この段階を無視して稼ぐことは出来ません。
中級者編は特に難しいことはなく、淡々とやるべきことをやるだけです。
初心者編をしっかりクリアできていれば、さほど難しいこともなく達成できるステップだと思います。
ただし、今回の記事は初心者編をマスターしている方に向けた内容となっています。
初心者編を飛ばしてきた方がこの中級者編からスタートしたとしても、プロのトレーダーへとなることは出来ませんので注意してください。
それでは、参りましょう。
(※基本的には「デイトレード」をメインとして記事を作成しています。トレードの時間軸(スイング、中長期)によっては好ましくない内容もありますので、注意してください。)
STEP.1 トレード環境を整える
まずは、トレード環境を整えましょう。
トレード環境を構築する場合、以下の3つの視点から組み合わせて考えなければなりません。
- 証券会社のサービスの視点
- 証券会社の取引ツールの視点
- PC設備の視点
このうち「証券会社のサービスの視点」と「証券会社の取引ツールの視点」の項目については、あらかじめ少し解説をしておきたいと思います。
証券会社のサービスの視点
これは「手数料」や「空売り可能銘柄」などの、証券会社自体が提供している株式取引自体のサービスに対する項目です。
最近ではデイトレーダー向けの「信用手数料完全無料」を展開している証券会社もいくつかあります。
もちろん手数料に関しては安いに越したことはないわけですが、安ければ良いというわけでもないんですね。
どういうことかというと、証券会社の評価と言いますか優劣というのは「サービス内容×取引ツール」で決まる節があります。
あそこの証券会社は手数料はいまいちだけど、取引ツールは良いよね。という場合もあれば、その逆もあるわけです。
ですので、一概に手数料が安い証券会社をおススメすることは出来ません。
ただ、この段階(トレードを始めたばかり)では正直そこを考えすぎても仕方がない気もしています。
結局のところ勝てる人はどんな環境でも勝てるわけで、みなさんが目指すべきはまさにそこです。
手数料が安い証券会社では勝てるけど、手数料が高い証券会社ではトントンです!といったトレーダーはいずれ消えますので、目指さないようにしましょう。
証券会社の取引ツールの視点
こちらも先ほどのサービスの内容と同じで、証券会社が提供している取引ツールは様々です。
細かく取引ツールを設定できる証券会社もあれば、あまり設定できない証券会社もあります。
サービスの項目でも説明をしましたが、もちろん細かく設定が出来るに越したことはありませんが、細かく設定が出来れば良いという事ではありません。
プロのトレーダーは必要最低限のツールで勝てますし、過度な情報は必要としません。
取引ツールを細かく設定すれば勝てるけど、細かく設定できない場合は負けます!なんてトレーダーは論外ですし、加えていえば取引ツールの設定と利益の大小は無関係です。
オススメするトレード環境
上記を踏まえて、オススメするトレード環境を紹介します。
とは言っても、初心者編でマーケットの観察は十分に行っていると思いますので、取引ツールは基本的にはそのままでも問題ありません。
慣れている取引ツールの方が楽だと思います。
僕が紹介する内容は、あくまでオススメとして認識しておいてください。
「サービスの視点から」
- 信用手数料無料
基本的にデイトレードとして話を進めていますので、信用手数料無料が好ましいです。
必須とまでは言いませんが、手数料が無料だと初心者の頃は精神的にも楽だと思います。
空売りや、システム取引関係のサービスは初心者にはまったくもって必要ありませんので無視してください。
「取引ツールの視点から」
- 基本的なテクニカル分析が見れる(移動平均線・出来高)
- 画面のサイジングが可能
少し拍子抜けな内容ですが、取引ツールは基本的なテクニカル分析が見れれば問題ありません。
言ってしまえば、どの取引ツールでも問題ありません。
ただ、僕の個人的なオススメとして「画面のサイジングが可能」な方が良いと思います。
画面のサイジングというのは、チャートや板などの各画面のサイズを好みに変えられることですが、画面のサイズが変えられない取引ツールが意外と多いです。
画面のサイジングが可能なほうが、単純に画面が整理されていて見やすいです。
「PC設備の視点」
- モニターは2枚
- PCスペックは~5万円程度で十分
モニターに関しては、2枚は必須です。
大きいモニターであれば1枚でもいいですが、21インチ程度であれば2枚は必要になります。
板、チャート、歩み、ランキングなどを表示させていると1枚では到底追いつきません。
PCスペックに関しては、~5万円程度のもので十分だと思います。
僕は初心者のころ10年前くらいのノートパソコンにモニターを繋げてトレードしていましたが、特に不憫もありませんでした。
当たり前ですが、高いパソコンの方が良いに決まってます。
動作も早いしトレードにはもってこいです。
ただ、僕が言いたいのは自分に見合ったスペックで問題ないという事です。
一点注意していただきたいことは、取引ツールが動けば問題ありませんが動かないことは致命傷なのであまりに低スペックなPCはやめましょう。
あくまでオーバースペックにならないようにという事です。
トレード環境の簡易表
項目 | 内容 |
---|---|
サービス内容 | ・信用手数料無料 |
取引ツール | ・基本的なテクニカル分析があれば可 ・画面のサイジングがあれば尚可 |
PCスペック | ・~5万円程度で十分 |
画面枚数 | ・2枚は必須 |
表示画面 | ・チャート(移動平均線・出来高) ・板 ・歩み値 ・主要指数 ・ランキング |
注意事項
全ての項目に該当しますが、「絶対に自分の姿を見失わなわない」ようにしてください。
今の段階は、やっとトレードをスタートする重要な時期です。
これからどんどんレベルアップをしていかなければならない、いわば「駆け出し」の状態です。
こんな時に勘違いをして「多くのモニター」「たくさんのテクニカル分析の表示」「何十万円のパソコン」といった、明らかに自分の手に余るものを得ようとしないでください。
それをしてしまっては、せっかく築き上げた「ルールを守る」という思考を失ってしまいます。
これは間違いなく敗者への道ですので、自分の力量を客観的に捉えて正しく行動をしてください。
パソコンもモニターの数もテクニカル分析の数も、プロのトレーダーになってから増やせばよいのです。
STEP.2 入金をする
トレードの環境が整ったら、実際に入金をします。
この時に入金をする金額ですが、以下の要件を満たしているようにしてください。
- 余裕資金の半分以下
- 100万円
理由を説明していきます。
余裕資金の半分以下
実際に取引をすると分かりますが、初めて「資金が減る体験」をすることになります。
資金を失うという体験には想像を絶する苦痛を伴います。
特に慣れていない初心者にはつらい経験ですし、簡単に慣れるものではありません。
この経験を何度も何度も経験して苦痛を感じないようにしていかなければならないわけですが、頭では理解していても取引をしたくないという体の拒絶反応が出現します。
これが「恐怖」です。
プロのトレーダーになるためには「恐怖」をコントロールしなければいけないわけですが、頭で恐怖をコントロールすることは出来ません。
恐怖をコントロールする方法は一つで、それは経験に基づく確信です。
目の前に現れた恐怖に対して、経験による確信を武器にして打ち勝つしかないのです。
このような恐怖に対して、トレードを始める前に唯一対応できることがあります。
それが「入金額の調整」です。
少し考えていただければすぐにわかると思いますが、全財産をかけてトレードをするのと余裕資金のさらに半分でトレードをするのでは、どちらが精神的な負担が少ないでしょう。
もちろん「余裕資金の半分」ですよね。
万が一トレードで失敗をしても、「最大の損失は余裕資金の半分」としておくことで、トレードを始める前からある程度の精神的安定は確保しておくことが出来ます。
100万円
基本的に100万円があれば、デイトレードをする場合に必要な銘柄は全て売買することが出来ます。
また、レバレッジをかけない(元金以上の売買をすること)でも十分にトレードが出来ることから100万円が理想だと思います。
注意事項
絶対に生活費や借金を元手にするのはやめてください。
これは紛れもなくギャンブルです。
投資は余裕資金のさらにその半分くらいで始めることが理想的です。
STEP.3 資金管理ルールを確立させる
内容的には入金の前にしなければならないのですが、便宜上で入金の後としています。
「資金管理ルール」とは、トレードを行う上での資金の管理ルールであり重要な項目です。
いわゆる「リスクリワード比」であったり「勝率」や「リスクマネジメント」のことですが、この段階ではそこまで深く考える必要はありません。
ただし、たとえば資金が100万円に対して一回の取引で50万円損失を出すことは資金管理上好ましくないでしょう。
また、損失額が500円のときもあれば5万円のときがあるということもナンセンスです。
そのため、ある一定の資金管理ルールは必要でしょう。
資金管理ルール
- 一回のトレードの最大損失額は1or2%で固定
- 一日のトレードの最大損失額は10%
- 一日のトレードの最大損失額を達成した場合、5日間の取引中止
注意事項
資金管理ルールの%は自分のスタイルに合わせて変更させてください。
これまでマーケットの観察を繰り返してきていれば自分の得意な値幅が確立されているでしょうから、自ずと分かると思います。
ただし、資金管理ルールは守れて初めて機能するものです。
何度も繰り返して述べていますが、必ずルールは守りましょう。
STEP.4 実取引を行う
入金と資金管理ルールの設定が完了した場合は、実取引を行っていきます。
なにか特別な技術は必要ありません。
ただ、実際に取引をすれば良いだけです。
ステップ4はこれだけなのですが、おそらく皆さんはここで次の2つのパターンのどちらかに分かれると思います。
- パターン1 すんなりこのステップの内容を理解できた方
- パターン2 このステップの内容が分からない方
なぜ、このように分かれるのか説明していきます。
パターン1の方
おそらく、パターン1の方は「実際にマーケットを観察した方」です。
プロへのステップ(初心者編)を念入りに読んだ方もそうでしょう。
この方達は「利益を上げる方法」を既に獲得しています。
つまり優位性を持っています。
その内容は僕にはわかりませんが、マーケットで利益を上げる方法を見つけているのだと思います。
僕の書いてきた内容を理解して実際に行動を移していれば、必ず自分の中での優位性を持っているはずなので、実際に取引をすればよいと言われてすんなり出来る状態のはずです。
パターン2の方
こちらの方は、「ん?それでどうやって取引するの?手法は?」という状態の方ではないでしょうか。
失礼ですが、実際にマーケットを半年間しっかり観察してみましたでしょうか?
もしくは、マーケットを観察した経験はありますか?
もし半年間の観察を経ているのであれば、最低でも2~3個は利益を上げるポイントを分かっているはずです。
それが分からないのであれば、観察をしていないとしか僕には考えられません。
意地悪ではないので実際の僕のエントリーポイントを書いておきますが、
僕は「株価が短期的に底打って上げ始めたとき」にエントリーをします。
エグジットはこの逆で「株価が短期的に天井に達して下げ始めたとき」です。
少なくとも、このように文章で自分の中での利益を上げることが出来るポイントというのは見つかるはずですので、まずはマーケットの観察をしてみてください。
注意事項
この段階で、利益を上げることが出来るポイントが不明な場合は実取引は行わないでください。
間違いなく資金が減っていきます。
悪いことは言いませんので、マーケットの観察を続けてください。
STEP.5 必ず日誌を書く
プロへのステップ(初心者編)でもありましたが、必ず日誌は記載してください。
項目は初心者編とは別になります。
- 銘柄
- 株価
- 市場
- エントリー時間
- エントリー株数
- エントリー価格
- 想定エグジットライン(損切ライン)
- エグジット時間
- エグジット価格
- トレード内容(可or不可)※不可の場合は理由を記載
この中で大切な項目は「トレード内容(可or不可)」です。
これは損だったか利益だったかではなく、トレードの内容が良かったか悪かったかで記載してください。
損切が早かったのならそのように書き、利確が早ければそのように書いていきます。
注意事項
トレード内容が悪く、その理由が分かっている場合は二度と同じミスをしてはいけません。
もし全く同じミスを2回以上した場合は口座の資金を即出金をしてください。
1度目のミスは全く問題ありませんが、2度目のミスは大問題です。
2度目のミスを犯すという事は「資金が減るとわかっていない」か「資金が減ると分かっているのにやめられない(ギャンブラーの状態)」という事です。
理由がどちらにせよ、このままではプロのトレーダーになることは出来ません。
早い段階で資金を守り、マーケットの観察に戻りましょう。
中級者編のまとめ
中級者編の目標は「マーケットで生き残る」という事です。
資金管理、入金額、日誌の条件が揃っていれば、退場(資金がなくなる)することはあり得ず、口座資金は維持もしくは若干の上下変動となるはずです。
万が一、資金の大幅な減少があったとすれば、マーケットへの参加が早すぎること意味していますのでなるべく早く資金を撤退させましょう。
反対に資金の大幅な上昇があった場合も危険です。
この場合はギャンブルをしている可能性もありますので、危険な取引をしていないか見直してください。
ルールに則り正しくトレードをしていれば必ずマーケットで生き残ることが出来ます。
あすぱら